運営指導の解説

介護報酬の返還を求められたら(運営指導・監査の後の流れ)

2026年10月11日更新

運営指導や監査で報酬の請求に誤りが見つかると、事業所は自分で点検して、誤っていた分を返還します。様式や期限は自治体によって違いますが、厚生労働省の資料と自治体の案内に共通する流れをまとめました。実際の手続きは、結果通知と所管の自治体の案内に従ってください。

「過誤調整」と「不正請求による返還」は別のものです

不正ではない誤りの場合は、「過誤調整」で返還します。厚生労働省の運営指導マニュアルは、過誤調整を次のように説明しています。

「過誤調整は、事業者側からの申し立てによる過去の報酬請求を訂正する行為であり、あくまで事業者側の誤りであることについて、事業者側の認識があることが前提です。もちろん行政処分ではありません。」

一方、監査で不正請求と認められた場合は、返還する額に加えて、その40%の加算金が徴収されることがあります(介護保険法第22条第3項)。

「保険者(市町村)は返還させるべき額のほかに、返還させるべき額に40%を乗じて得た額を徴収することが認められています(介護保険法第22条第3項)。」

たとえば横浜市が令和7年7月に公表した地域密着型通所介護の処分では、看護職員の配置が基準を満たさず、人員基準欠如減算を適用すべきところを適用せずに請求していたことが不正請求とされました。介護給付費3,958,199円に加算金1,583,280円を加えた5,541,479円の返還が求められ、時効を迎えた分(20,203,554円)も自主返納が求められています。指定の全部の効力は6か月間停止されました。(出典:横浜市 記者発表資料(令和7年7月23日))

運営指導の後の流れ(過誤調整の場合)

  1. 結果の通知を受け取る

    運営指導の結果は文書で通知されます。国の指針は、過誤による調整が必要な場合、「後日文書によってその旨を通知する。」としています。(出典:厚生労働省 介護保険施設等指導指針)

  2. 同じ誤りがないか自主点検する

    指摘された1件だけでなく、同じ誤りがある請求をすべて洗い出します。奈良市は「運営指導後速やかに」自己点検を始めるよう案内しています。(出典:奈良市) 範囲は、加算なら要件を一つでも満たしていなかった加算全体(厚生労働省)、青森市は「最大で過去5年間分」としています。(出典:厚生労働省 運営指導マニュアル)(出典:青森市)

  3. 改善報告書と返還額の一覧を出す

    千葉市は「「運営指導による改善報告書」を作成し、結果通知に記載されている期限までに提出してください。」とし、返還が生じたときは返還額の一覧表などを併せて提出するよう案内しています。(出典:千葉市) 期限は、結果通知に書かれた期限(千葉市)、原則1か月以内(岡山市)、段階ごと(奈良市:過誤調整の対象者の一覧は結果通知受領後2週間以内、改善報告書などは1月以内)など、自治体によって違います。(出典:岡山市)(出典:奈良市)

  4. 過誤申立てをして、正しい内容で再請求する

    保険者(市町村)に過誤申立てをすると、国保連で元の請求が取り下げられます。そのうえで正しい内容で再請求します。(出典:藤沢市) 千葉市は「改善報告書の受理通知が届いたのち」に過誤申立てをするよう案内しています。同じ月に取下げと再請求を行う「同月過誤」で再請求を忘れると、「当該月の介護給付費の全額が返還となります」(岡山市・さいたま市)。(出典:岡山市)(出典:さいたま市)

  5. 終わったことを報告する

    千葉市は、「過誤申立終了報告書」と、国保連から届く「過誤決定通知の写し」の提出を求めています。ほかの市町村の被保険者の分は、「それぞれの保険者に手続きをご確認いただき、適正に処理してください。」としています。(出典:千葉市)

見落としやすい点

  • 利用者負担分も返金します。倉敷市:「保険給付分(9割、8割又は7割)のみではなく、被保険者への返還も必要となります。」(出典:倉敷市) 奈良市は、利用者負担の返金は、国保連から過誤決定が通知され「要返金額が確定してから」始めるよう案内しています。(出典:奈良市)
  • 関係する加算も返還になることがあります。倉敷市:「加算返還に伴い介護職員等処遇改善加算等の返還も必要となります。」(出典:倉敷市)
  • 差し引ききれないと納付書が届きます。藤沢市:「過誤調整により相殺する額(取下げに伴う返還額)が、その月の介護給付審査決定額を上回った場合、国保連から給付費の支払いは行われません。」「この場合、国保連から納付書が事業所に送付されますので、期日までに支払いをすることとなります。」(出典:藤沢市)
  • 点検と過誤調整をしないままにしない。奈良市:「正当な理由なく、自己点検及び過誤調整を行わない場合は、再度の運営指導や監査を実施する場合がありますので、ご留意ください。」(出典:奈良市)
  • 時効。厚生労働省の監査マニュアルによると、過誤として返還する差額の返還請求権の消滅時効は5年、不正請求の徴収金の消滅時効は2年です。(出典:厚生労働省 監査マニュアル)

監査の後の流れ(不正などが疑われた場合)

監査の結果は文書で通知され、指定基準違反などがあれば、期限を定めた勧告、従わない場合の命令、指定の取消しや効力の停止といった措置がとられます。不正請求による返還には、原則として40%の加算金がかかります。

「上記(1)の不正利得については、原則として、法第22条第3項の規定により当該返還させるべき額に100分の40を乗じて得た額を併せて徴収するものとする。」

監査になるきっかけや処分までの流れは、運営指導と監査の違いにまとめています。

次の運営指導に向けて

自治体が公表している返還・減算の事例は、加算・減算の要件や、それを示す記録に関するものが中心です。事例は運営指導で返還になるのはどんなとき?に、運営指導で確認される項目は確認項目と確認文書(通所介護)24項目にまとめています。

監査無双は、計画書・実施記録・研修・委員会の記録をまとめて管理し、運営指導の確認項目ごとに不足を表示するアプリです。記録と書類の管理を支援するもので、報酬返還の回避を保証するものではありません。

出典

数字と引用は、2026年10月11日に上記の資料で確認しました。割合は有限会社ZEN SEKAIが計算し、小数点以下を四捨五入しています。

このページは、公表資料をもとにした参考情報です。個別の事業所の判断や行政の指導の結果を示すものではありません。

実際の手続き・様式・期限は、所管の自治体からの通知と案内に従ってください。