運営指導の解説

運営指導で介護報酬の返還になるのはどんなとき?(通所介護)

2026年10月11日更新

運営指導で報酬の請求に誤りが見つかると、受け取った介護報酬を「過誤調整」で返還するよう指導されます。不正ではない「誤り」でも返還になります。厚生労働省と自治体が公表している資料から、通所介護・地域密着型通所介護で返還や減算につながった主な事例をまとめました。

全国では、運営指導を受けた事業所の約6〜11%が過誤調整を求められています

厚生労働省の資料によると、令和6年度に運営指導を受けた通所介護3,979事業所のうち245事業所(約6%)、地域密着型通所介護3,359事業所のうち362事業所(約11%)が、過誤調整(報酬の返還)を指示されました。改善報告を求められた事業所は、それぞれ約52%、約62%です。

サービス運営指導を受けた事業所改善報告を求められた事業所過誤調整を指示された事業所
通所介護3,9792,075(約52%)245(約6%)
地域密着型通所介護3,3592,074(約62%)362(約11%)

令和6年度。厚生労働省 課長会議資料(令和8年3月)「(1)第1表 令和6年度介護サービスの種類別にみた運営指導の実施件数」より。割合は当社が計算。

(出典:厚生労働省 全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料(令和8年3月))

「誤り」でも返還になり、さかのぼって点検します

厚生労働省の運営指導マニュアルは、不正ではなく単なる誤りだった場合の扱いを、次のように書いています。

「不正請求ではなく単なる請求上の誤りと判断した場合は、他にも同様の誤りがないかの確認も含め、自己点検の上、過誤調整を行うよう指導することになります。」

「加算報酬の算定要件に関する誤った理解により当該要件を一つでも満たしていなかった場合は、当該加算について自己点検の上、過誤調整を行うよう指導します。」

指摘された1件だけでなく、同じ誤りがあるすべての請求が点検の対象になります。自治体の資料にも、次のような記載があります。

自治体が公表している主な事例

通所介護・地域密着型通所介護について、自治体の運営指導の結果や集団指導の資料に、報酬の算定の誤りとして載っている例です(「」内は資料の原文のままです)。

  • 個別機能訓練加算

    • 「3月ごとに1回以上の居宅訪問を行っていない。」「居宅訪問の際に、玄関先で生活状況の確認を行っている。」(出典:札幌市)
    • 「機能訓練指導員等が利用者の居宅を訪問せずに、個別機能訓練計画を作成している。」(出典:江東区)
  • 所要時間の区分

    • 「通常の利用時間が5時間半である利用者について、通院のために4時間半でサービスを終了したが、5時間以上6時間未満の区分で請求していた。」(出典:札幌市)
    • 「所要時間3時間以上4時間未満を満たしていないにもかかわらず算定していた。」(地域密着型通所介護)(出典:江東区)
  • 減算のし忘れ(送迎・同一建物・人員基準欠如)

    • 「親族の家に送った日に、送迎減算を適用していない。」(出典:札幌市)
    • 「同一建物から当該指定通所介護事業所に通う者に対し、指定通所介護を行ったにも関わらず、減算していない。」(出典:江東区)
    • 「指定基準に定められた員数の職員を配置していなかったのに、減算を行っていなかった。」(出典:宮崎市)
  • 入浴介助加算

    • 「入浴動作のアセスメントを居宅訪問時に行っていない。」(入浴介助加算(Ⅱ))(出典:江東区)
    • 「不適切な人員配置で入浴介助加算を算定していた。」→「2018~2022年にかけて1235件の請求誤りを認め返還・再請求した。」(出典:川崎市)
  • 業務継続計画・虐待防止の未整備による減算

    • 「感染症に係る業務継続計画を策定していない。⇒減算」(出典:札幌市)
    • 「虐待防止のための指針を整備していない。⇒減算」(出典:札幌市)
  • サービス提供体制強化加算

    • 「職員の割合を、常勤換算方法で算出していない。」同じ資料は「多額の過誤調整が必要になる事例が見受けられるため、注意すること。」としています。(出典:札幌市)
  • 計画の未作成・サービスを提供していない日の算定

    • 「個別サービス計画を作成していなかった。」→「介護報酬の返還となる可能性があります。」(出典:宮崎市)
    • 「通所サービスを提供していないにもかかわらず、通所介護費を算定している。」(出典:江東区)

ある区の1年分(江東区・令和7年度)

江東区は令和7年度、通所介護10事業所に運営指導を行い、10事業所すべてに文書で指摘しました。報酬に関する指摘24件のうち17件が返還・減算でした。地域密着型通所介護も6事業所すべてに指摘があり、報酬に関する指摘12件のうち10件が返還・減算でした(資料に金額の記載はありません)。(出典:江東区「令和7年度 運営指導結果の概要」)

返還を防ぐために

上の事例には、加算や減算の要件そのものを満たしていなかったものと、満たしていることを記録で確認できなかったものがあります。どちらも、要件を日ごろから確かめ、居宅訪問・計画の作成と同意・研修・職員の配置などの記録を残しておくことが基本です。

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出典

数字と引用は、2026年10月11日に上記の資料で確認しました。割合は有限会社ZEN SEKAIが計算し、小数点以下を四捨五入しています。

このページは、公表資料をもとにした参考情報です。個別の事業所の判断や行政の指導の結果を示すものではありません。

実際の手続き・様式・期限は、所管の自治体からの通知と案内に従ってください。